寮父/寮母先生の日記

寮生活だより 『他者の存在が悩みを生み、価値観を形づくる』

■『他者の存在が悩みを生み、価値観を形づくる』

寮父 松野 岳水
本校の生徒は誰もが「光り輝くダイヤモンドの原石」と言えば、楽観的な理想論のように聞こえるかもしれませんが、
私はそう思って一人ひとりと接しています。
ただ、輝くのは「いつか、その人なりに」というただし書きとともにですが。
輝き方は人それぞれであり、皆が同じ時に同じように光ることはありません。
ですから、現状に焦らずに、また満足せずに、将来どのように輝きたいのかを考え、
自分のやり方で輝けると信じることが大切だと思うのです。

しかし、私たちは、今置かれた境遇や能力などを他者と比較し悩みます。
そんな時は、悩みの存在を認めた上で、自分の価値判断の基準、つまり日々生活する際に用いている「物差し」にも眼を向けたいものです。

それは一つだけではないかもしれず、また周囲の人とは違っているかもしれません。

それら「物差し」を集めて言語化することで、自分の価値観に気づくことができれば、
自分がコントロールすることが難しい周辺環境や他者の言動に惑わされることが少なくなるでしょう。

ところで、今述べたことと矛盾するようですが、各人固有の価値観は、他者の存在があってはじめて浮き彫りになってきます。

特に、新しい生活様式、文化や他者に触れることは、私たちに自らの価値観について再考することを迫ります。
それは、一時的にアイデンティティの危機を招く可能性もありますが、
長い目で見れば、精神的な成長という意味でプラスに働くことになります。

多感な思春期に欧州のボーディングスクールで学ぶ意義、寮生活を送る意義は、まさにそこにあると考えています。

余談ですが、宝石にも様々な種類があるように、人間にも様々な輝き方があります。

将来、ここぞという時に光となれるよう、ここで原石を見つけ磨いて欲しいと願うとともに、
様々な宝石のそれぞれの美しさに気づくことのできる感受性も養っていってくれれば、と願うのです。