校長先生からのメッセージ

将来のこと、大学のこと

■将来のこと、大学のこと
校長 渡邉 博司

 前回のメッセージで、私は「選択のときに」を書きました。高校までは概ね一本道を友人と一緒に歩いてきたが、ここから先は自分だけの道になる。だから、将来の進むべき道の準備として、選択科目を慌てず慎重に選ぶことが大切だという主旨でした。

 とは云え、いつまでも結論を先延ばしにはできず、普段から、この先に勉強したいこと、さらにその先のことに思いを巡らしておくことが大切です。志望校や志望分野のことばかりでなく、自分の性格や将来像などについても、漠然とでもいいので考えておきたいものです。

 学校では、将来ビジョンのために、職業についても考える機会を増やしたいと、「キャリア教育」にも力を入れてきました。職業適性テストもその取り組みの一つですが、第一線のプロの話も聞かせてやりたいと、在校生の保護者や訪問してきた卒業生などによる講話も折に触れて行ってきました。

 直近のこととしては、12年生(高3)S君のお父さんの紹介で、3月にライフプランニングのワークショップを予定しています。自分自身の将来に生じるライフイベントに充分に備えておこうとするものです。

 自分の将来を考えるにあたっては、すぐ先のこととして、大学ではどのような環境で、どんなことを学ぶかも考えておかなくてはなりません。高校生の立場からすると、高校に居ながらにして大学のことを知りたいわけですが、この点に注目して、最近では高校・大学間の接続をよくしようということが言われるようになりました。今の日本の教育改革は、この高大接続がテーマになっています。

 スイス公文では、ずいぶん以前から単独でこのことに取り組んできてきました。大学レベルの学びに触れる機会として、AP科目(*1)、SAP(*2)、早稲田大学の聴講制度(カリキュラム外)などを設けているのもその成果です。

 早大との聴講制度はまさにこの高大接続をめざしたものですが、2009年に連携協定を結んで実現したものです。これに続いて、国際基督教大学(ICU)との間でも連携協定がスタートしました。

 11月にはICU教員による出張講座が実現しました。国際関係学の毛利勝彦先生がご来校され、全校生徒に向けて「平和のつくり方」について講義されました。平和構築の原理的な考え方が発展していくプロセスを説明され、お話はICUの理念にまで広がりました。生徒たちはリベラリズム=自由主義の風に触れることができました。

 12月にはICUのキャンパス・授業見学が企画されており、日本帰国中の希望生徒は大学の授業や学生生活を直接に見聞することができます。

 このほかにも、この冬休みには卒業生保護者の手配による東京女子医大の見学会や防衛省への訪問見学も計画されています。

 近い将来のこと、遠い未来のことは正確に予見することはできませんし、計画を立ててもその通りになるとも限らず、先々のことを思い描いても詮方のないことかもしれません。しかし、若者が自分の先に何かを見つけるためにはキッカケが必要で、何かに触れて考えてみることはとても大切なことです。学校では、さまざまな手立で将来を啓く契機を設けたいと考えています。

(*1) AP … Advanced Placementの略。アメリカの大学の教養課程レベルの内容を高校生に勉強してもらうことで、大学で学べる知力の獲得を目指すもの。授業終了後のテストで一定以上の成績をとると、その科目について米国大学認定単位を取得することができる

(*2) SAP …Summer Abroad Programの略。アメリカやイギリスなどの英語圏の大学では、夏休み中の数週間に高校生・留学生向けのプログラムが実施される。参加する生徒たちは大学の寮などに宿泊しながら講義を受けることで、大学入学後の生活をイメージし、視野を広げることができるようになる。